苗の植え付け~収穫
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・ 当園では、畝の高さは25~30cmの高畝にして外側に実がつくようにしますが、10cm程度の低い畝のほうが潅水で崩れたりしないので管理が楽です
・ 通常の畑の場合、多少肥料分はあるので、元肥はなしでも大丈夫です。
・ 定植直後はマルチをしません。マルチがないほうが根が地中深くまで伸びるので大粒の実を成らせる丈夫な苗に育ちます。
・ 3月上旬に株の周囲に追肥をしてからマルチを掛けます。マルチの下に潅水チューブを入れておくと水くれが楽です。
・ その後、敷き藁等をおき、実がマルチに直接落ちないようにします。
(※)堆肥ってなあに?
・ 堆肥は土壌改良資材となるため、良い土づくりには欠かせません。継続して入れることで土をフカフカな状態にしてよい作物ができるようになります。いちごの場合はどんな堆肥(腐葉土、畜フン堆肥、残飯をコンポストで堆肥化したもの、その他)でも問題ありません。
・ 堆肥は連作障害の防止に有効なため、畑の状態にもよりますが、いちごを初めて作る畑なら入れなくても大丈夫です。
・ ポイントは、完熟した堆肥を使うことです。完熟堆肥は、土に混ぜてからすぐに定植することができます。当園では、畑の全面に堆肥を入れますが、家庭菜園の場合は植穴にひとつかみ堆肥を入れ、よくかき混ぜてから水を入れ、苗を植えればOKです。
・ 堆肥として家庭の残飯を使用したものを使う場合は、残飯は動物性有機物も含まれており非常に栄養豊富なため、肥料は少なめにする必要があります。肥料なしでもOKなくらいです。
・ 堆肥のほかに使用する土壌改良資材としては以下のようなものがあります。使用量は袋に明記されている分量を守ること、また、定植や種まきの2週間以上前に畑の土になじませることが大事です。
化石石灰・有機石灰・苦土石灰 その他
・ いくら肥料をあげてもいちご(ほかの野菜も含めて)がうまく育たない場合は、土壌のPHが酸性に傾いていることが多いので、上記のような石灰質の土壌改良資材を入れます。
・ 土壌が酸性に傾いているかの判断方法ですが、もちろん土壌分析をするのが良いですが、家庭菜園程度ではなかなか難しいですよね。方法としては、作物の育ち具合をみて判断するやり方があります。特にPHに敏感な作物は、ほうれん草です。酸性に傾いた畑では芽が出ても育たず、葉が黄色くなって枯れてしまいます。
・ そのほかにも、写真のようなPHメーターで調べるのも一つの方法です。ホームセンターで2000円程度で購入できます。
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●畑の性質を理解しよう(上級者向け)
いちご苗を植える畑の性質を理解していると、良い栽培が可能です。
以下は、当園の新しい畑にいちご苗を植える際に土壌診断した結果です。
ただ、家庭菜園では土壌診断までは難しいと思うので、葉物野菜が普通に育つ畑であれば、いちご苗もよく育ちます。
・ 植え付け後は、新しい根が伸びるまでしっかり水をあげます(曇りや雨の日は不要です)。
特に、土をふるった状態で購入した苗や、ポット苗として購入し、土をかなり落としてから植えた苗の場合、なかなか水を吸えないので、定植後2週間程度は少なくとも1日1回水をあげる必要があります。晴天の日などは朝晩2回あげてもよいくらいです。
曇りの日が続けば2日に1回でも大丈夫かもしれませんが、晴天の日が続くと2日に1回では枯れてしまいます。
ポット苗として購入し、あまり土を落とさずに植えた苗の場合は、苗に土がついているため、2日に1回の水やりを1週間程度続ければ大丈夫です。
・ 水やりのポイントは、水を土にしっかり染み込ませることです。上からあげた水はなかなか土の中に染み込まないので注意します。
・ およそ2週間くらいすると(土をあまり落とさずに植えた苗の場合は1週間くらいすると)、新しい根が伸びてきて苗が元気になり、新しい葉が展開してきます。朝葉の先端に水滴がつくようになればベストです(写真参照)。このように水滴がつくようになったあとは、水やりは控えめにし、乾いたら潅水するようにします。
・ 12月に入ったら、極端に乾かない限り水は必要ありません。
・ 10、11月は栄養生長から生殖生長に変わる時期です。栄養生長のときはランナーが伸びてきますが、実をつける株に栄養を蓄えるため、伸びてきたランナーは付け根から手で取り除きます。ランナーと一緒にわき芽も伸びてきますが(写真参照)、これも一緒に取り除きます。(取り除いたほうが大きな実ができます)
・ 生殖成長に変わると花芽が出てきて、ランナー、わき芽は出てこなくなります。
・ 10~12月に花が咲いた場合ですが、この時期にできた実は熟す前に成長がストップしてしまうことが多いです(寒くなるといちご苗が休眠してしまうので)。よって、株に栄養を蓄えるためにも、この時期に咲いた花は取り除いてしまいます。
・ ただ、プランター栽培の場合、夜だけ部屋の中に入れてあげると実を採ることができるので試してみてください
・ 12月になって寒くなると、紅葉して休眠します。地温が上がる3月までこのままでOKです。
・ 普通栽培(加温したりトンネル被覆したりしない露地栽培のこと)の場合、定植直後はマルチをしません。潅水チューブも不要です。
・ 植え付け後~2月ごろまでは絶対に肥料はあげないでください(病気になります)。 |
3月になったら、雑草を取り除き、花や枯れかけの葉を取り除きます(下写真①、②)。
そして、いちご苗の周囲に肥料をまきます(畑栽培の場合は1株当たり25g程度。プランター栽培で培養土を使用した場合は1株当たり6g程度)(下写真③、④、⑤)
その後、畑栽培の場合は、潅水チューブをいれ、マルチを張って潅水します(下写真⑥~⑨)。
灌水チューブを入れない場合は、少し大変ですがマルチの穴からジョーロで水やりすれば大丈夫です。
マルチをしない場合は、いちごの実ができたとき土に触れないように、敷き藁などをするとよいです。
プランター栽培の場合は、潅水チューブとマルチは必要ありません。同じく実ができたときは、土に触れないように敷き藁などをするとよいです。
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・暖かくなるとランナーがたくさん出てきますが、実に栄養を送るためにも収穫前と収穫中に出てきたランナーはすべて取り除きます。
・まだ寒いころに咲いた花で中心が黒くなったものがありますが、これは寒さのせいで受粉できなかったものなので折り取ってしまいます。 |
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・うまく受粉すると実がなってくるので、小鳥に食べられないように防鳥ネットを張ります。 |
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・受粉がうまくいかないと、右のような変な形のいちごになります。
このような場合は、受粉がうまくいくよう次のいずれかを試してみてください。
① 花に扇風機で風を当てる
② 花をうちわでパタパタあおぐ
③ 少し面倒だが一花一花筆で受粉する
大切なのは、一番花粉が飛びやすい”綺麗に花が開いた直後”に行うことです。 |
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・ 赤くなったらいよいよ収穫です!(*^_^*)v
・ 雨が多いとナメクジが出没して食べられてしまうので注意しましょう。ホームセンターに忌避剤も売っています。 |
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