就農への道2024 ー新規就農に興味のある方へー

 見えてきた農家の事情と新規就農者のハードル。

農業と言っても範囲がとても広いので、私の経験上の説明になります。他の農家地域でも共通する部分も多いと思います。

アッという間に就農17年目 更に見えてきた苺農家の事情

<種苗法と苺組合の関係>

まず種苗法の事を全く知りませんでした、お金を出せば普通に苗は買えると思っていました。苺苗を買うには、まず地元の苺組合に入り県の種苗センターにJAが取りまとめて親苗を注文します。この注文は3年後の親苗です。3年後に苗が届きやっと苺の生産ができるのです。なので実際に実が採れるまで4年掛かります(登録品種。、県の種苗センターの受付は全農かJAになります。品種によっては民間の種苗会社から直接買えるルートも存在しますが許諾料を払う事になります。

この仕組みの中で新規就農者に最初のハードルがあります、地元の苺組合への参加です、ここは理事会の全員一致が必要です。一人でも反対者がいると参加できません。何処の誰だか判らない人は入ることはできません、行政のバックアップが必要です。

【新ニュース】
2024年9月 横田農園は、埼玉県の新品種(あまりん・かおりん・べにたま)苗の生産販売許可を埼玉県からいただきました、埼玉県内で上記の苺組合に所属している農家に苺苗の販売ができるようになりました。

<販売先の問題>

苺の生産はできても販売はそう簡単ではありません、自分で販売する事は出来ますが、販売に多くの手間と時間が掛かります。

地域の直売所へ出すのが一番近道ですが既存の農家の了解が必要になります。ここも全員一致が条件になります。既存農家が苦労して育てた売り場です。商品がダブつく時期は少しでも生産者は少ない方が農家は助かります。
やはり行政のバックアップが必要です。

直売所以外にも販売先はありますが、どこの売り場も信用が無いと受け入れてもらえません。市場へ出荷する方法はありますが販売価格は1/3で少量生産ではとても所得は残りません。

<農地の問題>

肝心の農地ですが、なんの繋がりも無い新規就農者が苺農家になることの難しさを地主(元農家)は知っています。なので新規就農者がまともに農業を継続できるか疑います。農地にハウスを建て、そのまま放棄されたのでは困ります、ここも行政のバックアップが必要です。

如何でしょう、栽培技術以外にも多くの難題が存在します。

とんでもなく高いハードルがあります、私はサラリーマンでしたが家は代々農家だったので、なんの苦労も無く苺農家としてスタートできたのです。これでは新しい苺農家はとても育ちません、なので私が新規就農者のサポートをしている訳です。

 

2024年 3組研修中につき受入れ休止しています。

暫くは研修中の状況を伝えて、記事を進めてゆきます。是非参考にして下さい。

横田農園のいちごで就農大作戦

吉見町は埼玉県内では、苺の有名産地です、この地で作る苺はとっても美味しいのです。
いちごの里よしみ内のJA吉見直売所には、連日多くのお客様がよしみ苺を求めて来店します、しかし苺農家の実態は、高齢化で急激に減少しています。
何故、いちごの生産者が増えないかと言うと設備投資とリスクが高くハードルがとっても高いのです。
そこでこのハードルを低くして苺栽培に挑戦できる環境を(株)横田農園が提案します。

新規就農で苺栽培 横田農園で苺栽培
ハウスの建設費(1棟)  220万円   横田農園で貸出
 苺苗の育苗ハウス建設   50万  横田農園で栽培(苗を購入して頂けます)
 出荷調整倉庫(ハウス)  50万  横田農園で行う
 配達・作業用車(軽トラック)  20万(中古)  横田農園で貸出
 トラクター  100万(中古)   横田農園で貸出
 潅水用ポンプ一式 20万   横田農園で貸出
 動力噴霧器 40万   横田農園で貸出
 畝立て機 手作業で行う   横田農園で貸出
 小型管理機 手作業で行う   横田農園で貸出
 土壌消毒器 機械不要の薬剤等   横田農園で貸出
 農地の取得(賃貸) 1,2年は困難   横田農園で貸出
 苺苗の育苗技術 2,3年   横田農園で苗を販売
 苺の栽培技術 3~5年   横田農園で指導
 収穫~出荷調整技術  1年  横田農園で受託
 販路 1,2年は困難  横田農園の販路を利用
 合計費用  500万円  1年間のレンタル料のみ

 

実際に苺栽培の設備を自分で用意する場合、上記のように最低でも500万円の費用が必要です、実はこの面積ではほとんど所得は取れません、まともに生活できる水準の所得を得るには上表の5倍の設備が必要になります。こんな状況なので資本力の無い新規就農者には挑戦しようにも出来ないのが現実です。
そこで、当園の設備を丸ごと貸し出そうと考えています、栽培技術も教えます。
これにより、確実に収入を得る事ができます、また、途中でリタイヤしても、それまでに掛かった肥料等の消耗品だけで高額な設備の負債がまったく残りません。(苗代・肥料・農薬・ビニール代・その他消耗品等の費用は、その都度掛かります)
1棟では研修中の生活ができません、そこで当園んでアルバイトをしながら苺の栽培を行う方法があります。
毎日、午前中アルバイトをして午後は自分の作業をやるわけです、これにより多少でも現金が入ります。
1日4時間働いて20日で80時間×1080=¥86,400/月 です。これに自分の苺ハウスの売り上げがプラスになります。
また、横田農園での仕事は殆どが苺栽培なのでアルバイトをしながら、苺の栽培技術に直に触れ合えます。
1,2年やってみて自信がつけば、横田農園の畑を貸し自分でハウスを建てる事も可能です。

ザックリと収入と経費の割合を説明します、
当園の販路で販売するとハウス1棟で約150万の売り上げになります。
この中から資材費が50%くらいです、ハウスのレンタル料が10%程度です。
とすると全て自分で作業した場合75万が所得になりますね、実力が付けは一人で4棟位作れるので、
4棟で300万の所得になるのです、ここから先は、細かい努力の積み重ねで更に収量を増やす事も出来ますし、
実力を磨いていけば1棟で180万の売り上げや販売方法を工夫することで220万にUPも可能です。

<リスクについて>
上記の収入を見ると、それほど悪くないなーと思いますが、問題は異常気象です、突風・水害・大雪等でハウスが倒壊してしまうリスクがあるのです、不作で収穫が無くなっても50%の経費だけは払わないといけないのです。
農業共済と言う保険もありますが、設備の復旧は可能ですが、被害を受けた年の収入は無くなります、それでもその年に掛けた消耗品資材40%程度は払わなければいけません、結局この資材費と1年分の生活費を借金する他ありません。
このような状況は、以前は50年に1回とか100年に一回とか言われましたが、私の経験では最近は5年に1回の割合で起きています、今年も関西で記録的な大雪でした、異常気象のリスクは確実に増えています。
これらに対応した民間の保険もあるようですが、保険料が高いので保険に入れると手取りがさらに10%程度減ってしまいます。
50%残るハズの利益が40%に減ってしまいます。

どうですか、頑張れば会社勤め並みの所得が期待できますが、それにはハイリスクですね、中途半端ではできません、
こんな事情から、農家を継ぐ子供たちがいないのです。

このリスクを減らすための国で勧めている政策が収入保険です、完全とはいかないまでも今後はリスクは軽減されると思います。

上記の部分だけ見ると会社へ務めた方がはるかに良いと思いますが、会社と違い自然と共に生きるので、ストレスが殆どありません、会社は効率重視ですから、掛かるストレスは大変な物があります、うつ病になったり自殺者まで出るくらいです。
私は思います、死ぬくらいなら、一度は農業に挑戦してみたらよいのにと!
実際うつ病で当園に働きに来て元気を取り戻し、また新しい道へ進んだ人もいます。
農業は、リスクもありますが、こんな良い所もあるのです。

そうそう、当園でハウスを貸す場合上記のリスクは、背負って頂きます。
万が異常気象等で売り上げが上がらなくても40%程度(掛けた資材費の40万)は頂く事になります、少し前の大雪でハウスがつぶれた時にレンタルしていたハウスは被災対象から外された経験があります。

被害に遭うか合わないかは運です、やってみなけりゃ解りません(^^)
私が思うに、被害に遭った人の方が農業が継続できていますので、被害に遭っても折れない心が大事です。
何もない平穏な人生は、つまらないですよね! リスクを楽しむ姿勢が大事です。

それと、上記のリスクを何時背負うか解らないので、金融機関からお金を借りられないといけません、これには信用が必要です、信用の無い人は農業はできませんので御注意下さい、お金が無くても信用があれば何とか切り抜けられます。

<希望の持てる話>
上記の試算は、あくまで当園の現状での平均値です、実はベテラン農家の中には高い技術力で高い収穫量を上げる農家があります、一棟240万の売り上げを取れる農家もいるのです、また資材費の50%以下も可能です、これだと4棟で960万の売り上げが可能です、資材費も圧縮されるので、粗利は570万程度になります、さらに夫婦でやると7棟程度できるので、売上1680万になり粗利は1000万になります、こんな計算もできるのです。
この技術力は、直ぐに身に付く訳ではありません10年以上の経験が必要になります。

農地の問題は、複雑で難しいです。

当園の研修生が就農相談会に出たので同席させて頂きました。
最近は、農業学校で勉強している学生は殆ど非農家の子供達です、そんな状況なので新規に農業をしようとすると農地をどうやって手に入れるかと言う問題が出てきます。 これが結構大変で、農家で無いと借りる事も買う事も出来ないのです、ここをどうするのかという問題にぶつかりますね。もちろん口約束で借りる事はできますが、正式な契約ができないと安心して農業に取り組む事が出来ません、この問題は行政に頑張って欲しいと思います。

地主の事情::
この土地で生活しているので、できるだけ周りに迷惑が掛からないように農地を維持管理したいが離農しているとその負担が重く誰かに農地を貸したい、けれど正しく使ってもらえるか心配、貸し出し後農機具を処分してしまうので返されても、管理ができない等々、こんな事情があり信用のある農家でないと農地を借りる事が出来ません。
農地の事情:
耕作をしていない、農地はそれなりの理由があります、水源が無い、用水路があっても、生活排水が流れていたりして使えない、排水路が無い、人家が近い、人家が近いと何故問題があるかと言うと、畑を耕うんするとホコリがたち洗濯物が汚れる、朝早くトラクターの騒音がうるさい、農薬散布がし難い、等々の問題があります。また、共同用水路を使う場合耕作放棄地は負担金を払っていない事が多く、使うには前にさかのぼって負担金を収める必要が出てくる。

暫く書き込みをしなかったので久しぶりに書き込みします。平成27年1月

最近は新規就農の事情もだいぶ変わってきました、一層の高齢化で農家の後継者不足はより深刻な状況で待ったなしの状態です。
若い人には大きなチャンスがあると思います、是非挑戦して欲しいと思います。
但し、相変わらず所得は低水準なので本当に農業を志す強い意思は必須です。
最近メディアで働く世代の貧困と言う報道を目にしますが、内容を見てみると一月の所得は20万程度は稼いでいます、それで何故貧困なのかと思い見てみると家賃と携帯電話・車と言う形で生活すると都会では、とにかく家賃が高く14万光熱費1万円携帯電話1万車の維持費で3万といった事で当然大変なんですね、農業は頑張って一月15万円程度の所得しか取れません、これでは生活できないと思ってしまいます、ところがです、農地は駅のそばには無いので、農地周辺の家賃はとにかく安いです3~4万です駐車場1台込なんてのもあります、でもってお米と野菜は自家製なので殆ど買う必要がありません、15万円でも余裕で生活できます。お米なんて食べたいだけ食べれます。この生活費をベースに農業を目指すと意外と先が見えてきます。

--------<以下は数年前の書き込>------------------
新規就農者の実態について当園から、就農に向けて出ていったスタッフが何人かいるのですが色々聞いているので少し書いてみます。
何れも農業に夢を持って頑張っている新規就農者です。
A君29歳::
以前私が勤めていた会社の後輩で私と同じく農業に夢を抱いて私と同じ年に就農しました
自分で野菜の種を採取するところから特徴的な農業をするんだと、自家採取できる品種の種を購入してきて自分の畑に捲き一生懸命育てていました。やがて春が来て、花が咲きもうすぐ種が採れると喜んでいた矢先に、畑の側を通っていた小学生がきれいな花がいっぱいと言って花を摘んでしまい、その年は種の採取ができず、一年めはこれで終わってしまいました。
2年目には畑の周りに囲いを作って立ち入り禁止の看板を立てスターとなりました。
その後の事は聞いていませんが、あれから3年今年はブルーベリーの苗木を植えていると言っていました。
相変わらず、農業所得は入らずアルバイトで細々と暮らしているようですがそれでも夢を持って今も頑張っています。
B君39歳::
当園でイチゴ栽培を研修し4年前に自分の畑にハウスを建てて頑張っています。農機具とハウス設備の購入資金として800万の借り入れをしてスタートとなりました。
初年度は、低農薬に拘り過ぎたためハダニが大発生して収入はほとんど無かったようです。私も初年度は同じ失敗をしてしまいました。私の場合初年度は300万の赤字でした。そろそろ借入金の返済猶予期間が終わり返済開始となる時期ではないでしょうかそんな中でこの寒波はつらそうです。

Cさん58歳::
年齢的に多少の所持金もあり自費でハウスを建ててイチゴに挑戦していますが、初年度はB君同様でハダニの大発生で収穫はほとんどなかったようです。B君の後に当園で研修して就農しました。今年で3年目になりやっとまともにイチゴがなっています。

Dさん30歳::
お爺ちゃんの山を借りてブドウ・桃園の経営を目指す。現在近所の果樹農家で研修中で現在借りた山の整備を時々やっています。自己資金で桃の苗木を購入し山に植える作業をしています。何年か所得が無いので、新規就農補助金を申請中のようです。果樹なので実が採れるようになるまで何年かかかるようです。

E君22歳::
来年、就農予定で初めは農業所得が期待できないので兼業農家からスタートするようです。新規就農支援金は申請可能なのですが、22歳と言うことで途中で就農離脱する可能性があり、新規就農支援金を申請するのは、リスクが高いと言う判断です。

農産物の価格について

どんな商品でもそうですが、多すぎると価格が下がってしまいます。
農産物も時期になると大量に収穫できてしまい、価格は下がる一方です、夏になるとキュウリやナスは一袋100円以下で販売されても売れずに廃棄されてしまいます。
農業で所得を得るなら季節をずらして作る技術を身につける必要があります、作り難い時期に作るので当然苦労が伴いますが、その分価格が高く手間代を価格に反映できるのです。

最近話題の人農地プランについて一言

このところ当園の周辺でも耕作放棄地が目立つようになりました。
原因は、色々ありますが、なんといっても農産物の価格が安く農家の所得が低いので、農業を志す後継者が育たず高齢化と共に農業を辞めてしまう農家が多いことです。
そこで、農業後継者を育て耕作放棄地利用の対策として人農地プランと言う政策を打ち出してきました
内容的には、農地の集積化をして効率的な農業ができるような地盤を作り、将来の担い手にこの農地を使って農業を継承してもらおうという仕組みのようです。新規就農者には、年間150万の補助金を研修期間2年と就農してから5年間合計7年間支給されると言うことで関係機関に問合せが沢山きているように、聞いています。
単に新規就農と言っても、大変で農業を始めるには、自分で道具を買わなければいけないのです。
これが大変な事です、農機具の購入とそれを入れる物置が必要になり凡そ1000万位設備投資が必要になります。就農時にローンを組んで買うことになる訳ですが、頑張って農業をしてもこのローンを返済するほどの売り上げが望めないのが今の農産物の価格です。8年目から補助金が無くなると突然生活ができなくなるわけです、会社員なら自分で道具を買う必要がないので辞めてもまた次を探せばいいのですが農業は辞めると農機具のローンが残り辞める事が出来なくなってしまうのです。
設備投資をしないで農産物を作ることは、できるのですが普通に栽培した農産物は全て同じ時期に収穫となるので直売所に同じ野菜が山のように並び殆ど売れないのです、価格も無制限に下がってしまいます。
とにかく手間代どころか肥料代も出ないほどの価格です。当然、働けど働けど所得が取れません。
自給自足の生活が精一杯といったところです、家族を養う事もできないので、結婚もできず農業に一生を捧げる人生になる可能性が大きいです。

それでも就農

農業は国の基幹産業だから大事にしましょう後継者も育てましょうと国もメディアも多くの人は、そうだそうだと賛成します、でも自分の家族が就農を志そうとすると、家族は100%やめた方がいいと言います。
何故でしょう?
農業の厳しさは、皆が解っていて全国的に認知される所です、何が厳しいのでしょう。
労働?体力?熱い?寒い?・・・・色々ありますが、実際やってみると日差しを浴びならが汗をかいて体を動かすのは中々健康的で楽しいものです。やっぱり採りたては美味しいと皆が喜んでくれます、疲れた時には休めばいい、日が沈めは寝ればいい。
企業に勤めているとそうは、いきません客先の注文や要望には答えなければならず、時には深夜残業や休日返上で働く事が必要になります。
周囲が反対する一番の理由は、所得が低いと言う事です、実際やってみると本当に所得が低く家族を養えるだけの所得を得るのは、かなり大変です。一人では家族を養う事が出来ないのです、そこで家族も捲きこんで農業をする事になるので、当然反対する訳です。
あるいは、生活水準を極端に落とすかです、自給自足に近い生活になります、年金や保険なんてとても払える所得は期待できません、これも当然周囲は反対しますね。
もし、一人で農業を志すのであれば、起業をするつもりで取り組む必要が、あります。
大きな借金をして農機具を買ったり、生産だけでなく加工や販売まで手掛ける熱意と根性が必要になります。この辺りの事を良く踏まえたうえでの取組みとなります。(これは、若い世代の就農です)

中高年の場合の就農は、そうでもありません。
養う家族は独立し、多少の蓄えもあり、65歳になれば、年金も入り生活は安泰です。
楽しむ為の農業です。社会の為に、地域の為に、地域の農業の為に、将来の農業の為に、健康の為に・・・・・・
その結果、直売所は安くて良い品物が並び消費者には喜んでもらえ生きがいにもなります。
とにかく周囲に喜んでもらえる事が基本です。

就農への道

就職先の減少と報道の影響で農業に興味と夢を持ち農業希望者が沢山いましたが、実際に農業を体験してみると、あまりの所得の低さと将来の展望が描けず、離れていってしまいます。最近では所得の低さと道の険しさも報道されるようになってきたので安易に就農に走る人も減って、また以前のような状態に戻っています。

現在、当園周辺の農業者の平均年齢は、67歳で80%の農業者は年金で生活がなりたっているため、農産物の価格に対しては、あまりシビアではありません、新規就農者は年金を払いながら、そんな農家と同じ売り場で農産物を販売しなければならず苦戦を強いられるのが現状です。一方市場では、大規模経営農家が整備された畑で大型機械を使った効率的な栽培をした農産物が標準的な価格帯となっていて、とても新規就農者が太刀打ちできる状態にありません。また、最近ではそんな効率経営をしている農家ですら、農機具の更新が出来ないほど厳しとの声も聞きます、その証拠に大規模農家でも後を継ぐべき後継者が他業種に就職しています。

新規就農者は、取り合えず最低限の設備投資をして農業を始める事になりますが、上記の農家と同じような良い品質の農産物を作れるようになるまで(3年~5年)は、所得を得ることは困難で、この間の生活をどうするのかと言う問題があります。また、借入れで設備投資をした場合返済猶予(約3年)期間を過ぎると返済が始まりせっかく所得が取れる水準の農産物の収穫が出来るようになったとしても、ローンの返済で手にできる所得は、ほんのわずかです。このような実態を踏まえた上で就農への道を模索する事になり、就農への道は本当に厳しいのが現実です。

それでも農業に夢を

当園では農業に夢と希望をもって入ってくる人を歓迎し就農の実態を体験してもらっています。
所得は、低いけれど収穫した農産物は、安心安全で、消費者からはとても喜ばれます、この辺に生きがいと働き甲斐があり、毎日が充実しています。あとは、いかに生活できる所得を取るかと言う事です。
新しい農業者が所得を得るには、農産物の生産だけでなく流通・販売・加工にも挑戦する事が必要と考えます。
農産物の生産以降の部分は、殆ど企業が行っているため生産現場と違い農産物に正当な人件費を乗せる事が出来ます。
この部分に農業者が取り組めば、自分で動いた分の人件費が所得として入るので、農業を継続できる可能性があると思います。と言うわけで、これからの農者は、かなり幅広い業務をこなす、根性・粘り強さ・アイディアが必要になると思います。起業するのと同じ事になります。
もう一つの所得を得る方法は、農閑期にアルバイトをする方法があります。
兼業農家の道ですね、純粋に農業だけでは、生活できないけれどもアルバイトをすれば、稼いだものは、すべて自分の懐へ入る訳です。
農業人口の高齢化と、農家の減少で新規就農者には、かなりの補助金が用意されるようになっています。
また、このまま農家が減れば将来は農業でも希望のもてる所得も期待できると思っています。とにかく今を生き抜く事です。
唯一いえる事はどんなに貧しくても農家は生きていけると言う事です、何故でしょうチョット不思議です。
住む場所(土地)はありますね。食べ物は畑にありますね。着るものはデフレで安価な物が買えます。
追い出される事も無いし、飢え死にする事も有りませんね、この辺りが最低限保証されていると言ったところでしょうか(^^)

私の場合の就農経験談

まずは、実情から(^^)
初年度::
会社に勤務しながら兼業農家として試験的に農業に取り組む。
初年度の売上・・・300万
諸経費・・・・・・・・凡そ50%
所得・・・・・・・・・・150万
*父の残した設備と農機具を使っているため、余計な出費は殆ど無し。
*夫婦2人で作業
*苗は、全て購入して定植。
2年目::
会社を辞め本格的に農業に取り組む。
売上・・・・・・・・・・700万
諸経費・・・・・・・・凡そ50%
人件費・・・・・・・・50万
所得・・・・・・・・・・-200万
*設備を拡大した為設備投資の費用が発生
*苗を自分で作るが病気に感染させてしまい、80%が枯れ、苗作りの難しさを痛感。
*面積拡大で雇い人費が発生。
3年目::
更に設備投資を行い売上UPを目指す。
売上・・・・・・・・・・・1000万
諸経費・・・・・・・・・凡そ50%
人件費・・・・・・・・・300万
所得・・・・・・・・・・・190万
*青色申告に切り替える。
*常勤雇用者の募集と受入れ開始。
4年目::
売上・・・・・・・・・・・1100万
諸経費・・・・・・・・・凡そ50%
人件費・・・・・・・・・350万
所得・・・・・・・・・・・210万
*どうにかこうにか人並みの農産物と収穫ができるようになったと思うが、まだまだ日々奮闘
*父の残した大農機具の寿命が徐々にきていて買い換えの準備が必要ウ......ム
5年目::
追加設備投資
売上・・・・・・・・・・・1400万
諸経費・・・・・・・・・凡そ50%
人件費・・・・・・・・・450万
所得・・・・・・・・・・・240万
*やっと所得も上がってきたと思ったら消費税の支払い開始......かなり大きな出費です。
売上1,000万以下の農家は消費税は免除されているのです、そんな農家と同じ売り場で販売
している訳です、年金問題の他にこんな問題もあるのです。
6年目::
売上1600万に向け更に設備投資。
売上・・・・・・・・・・・1200万)
諸経費・・・・・・・・・凡そ50%
人件費・・・・・・・・・550万
所得・・・・・・・・・・・170万
*売上アップに向けて追加設備投資とスタッフの増員を行うが異常気象による不作となる。
*品質向上に努力してブランド化をはかり独自の販売方法を模索
7年目::
売上・・・・・・・・・・・1900万
諸経費・・・・・・・・・凡そ50%
人件費・・・・・・・・・700万
所得・・・・・・・・・・・現在、申告に向けて奮闘中
*平年並みの天候で作も順調、一昨年の設備投資の効果も出て改善方向
*固定客も増えそこそこの単価で販売可能となるが、燃料費の上昇でどの程度負担が増えるのかは未定
今後は、燃料費を抑える工夫が必要。
*ブランド化を更に進めるため直営店の開設を模索

農業で生活できるまでの長い道のり(イチゴの場合)

ステップ1・・・・1年間農業研修を行い農業の基礎を勉強。
ステップ2・・・・資金を借り入れして栽培施設を建てたり農業機械を購入する。800~1000万円
もちろん農業をする為の土地を探して借りる。
ステップ3・・・・農産物に価格をつけて直売所に出荷をする、初めは良い品物はできないのでここで研修する。
ステップ4・・・・直売所に陳列された物と同程度の品物ができるようになるまで自分の畑で研修。1~3年間
時間の許す限り、農産物の生産に集中する。
ステップ5・・・・いよいよここから自分の農産物の特徴を伸ばし差別化を図れる農産物の栽培を行いながら販売先の開拓に取り組む。